12日、関東地方のJR・地下鉄・私鉄の662駅で自動改札機の電源を入れたところ機器異常エラーが発生し作動しないと言うトラブルが発生。自動改札機をセンターから切り離した状態で個々に起動したり、改札を開放扱いにして当面をしのいだ。
問題の発生した機械はいずれも日本信号(株)製で、Suica(スイカ)とPASMO(パスモ)の相互利用に対応した機種。総数で4378台にのぼり、全数で不具合が出たものとみられる。
症状や原因についてメーカは何度か記者会見を開いたようで、マスコミ各社の報道内容には、記者の聞き取りミス以上の差異が見られ、情報が錯綜している。
可能性として最も高そうなのは、何らかの原因(改札機のバグ、通信エラー、サーバ側のミス等々)で改札機とサーバ側の基本データ(経路情報か相互利用情報等)に不整合が発生、改札機が機器異常エラーとして停止した、と言うものだろう。
なぜ日本信号製のものだけなのかは、ソフトのバグによるのか、他社機は不整合があった時は新しいデータを無視する仕様になっているだけのことなのか・・・いずれにしても「機器異常」エラーが発生した時点で、詳細なエラー情報が得られないとは、何百万円もする機械としては考えられないことだが、誰もその点を指摘しないのはなぜだろう?
その後、日本信号は原因として、サーバからの起動データの一つとして受けとる「ネガティブデータ」(旧式カードや不正カード、失効カード等クレジットカードに関するデータ)の読み込み部分にバグがあり、ネガティブデータが特定の長さ、特定の件数である時にデータが読み込めなくなって、サーバにエラーを返しながらリトライのループに陥ることが判明したと発表した。
しかし何とも不思議なバグである。不正カード情報なら、単なる固定長の数字の羅列に過ぎないはずで、そんな単純なデータで読み込みエラーを起こす条件があるとは普通は考えにくい。何か裏がありそうな気もするが(-_-;)
いずれにしてもこのバグ・・・ダミーをはさむなどして条件を変えれば避けることが出来るとして、13日はあらかじめテスト機でデータチェックの上、障害の出ないデータを用意するとともに、プログラム修正を行なうという。
ところでSuicaもPASMOもプリペイドカードに過ぎないのに、なぜクレジットカード情報が必要かというと、オートチャージ機能のためであるようだ。
オートチャージと言えば、関西地区を中心としたPitapaとICOCAの相互運用システムでも同様の機能があるが、このようなトラブルは起こっていない。
日本信号(株)はその名の通り、元々は鉄道信号等の製造メーカで、近年は自動改札や券売機等にも力を入れているが、関西地区での導入実績についてはわからない。
同社の自動改札機は昨年暮れにもJR東日本の駅で定期券の日付チェックでのバグによりSuicaが使えなくなるトラブルを起こしている。ただし今回の機種は今年3月18日から運用が始まったSuicaとPASMOの相互運用用に導入された機種なので、昨年のトラブル機とは別と考えなければならないが、いずれもすっきりとしたソフト設計が行なわれていれば有り得ないほど奇妙なバグ内容ばかりで・・・開発体制に根本的な問題があるとしか思えない。