東京都は11月30日開会の定例都議会に青少年健全育成条例の改正案を再提出したが、各方面から反対の声が上がっている。
「非実在青少年」と云う奇妙な用語で有名になった改正案は今年6月の定例都議会に提出されたが否決された。
同条例は性行為を描写した漫画やアニメについて、場合によっては18歳未満への販売を自主規制することを出版社に求め、「不健全図書」に指定したものは都自身が販売を規制できる、と定めている。
旧改正案では対象を18歳未満にみえるキャラクター(「非実在青少年」)の性行為に限定していたが、今回はこの規定を削除。
1.刑法など刑罰法規に抵触する性行為
2.婚姻を禁止した近親者間の性行為
などを描写した作品が自主規制の対象となり、都議会が否決した旧改正案より、実質的には規制対象が拡大している。
これに先立ち、11月25日に開かれた日本ペンクラブ(阿刀田高会長)の理事会では、今回の改正案への批判が相次ぎ「6月定例都議会で否決された改正案よりも規制対象が拡大している。基本的な性格は変わっていない」として「言論・表現の自由をゆがめ、プライバシー空間にまで行政・公権力の関与・介入を許すものとして、改めて反対する」との反対声明が採択された。
同日、東京弁護士会も反対を表明した。
11月29日、日本漫画家協会(やなせたかし理事長)、21世紀コミック作家の会(さいとう・たかをなど5人が理事)およびマンガジャパン(水島新司代表)も反対声明を発表した。
1日、共産党都議会議員団は「議会で否決された案と実質的に同じものを繰り返し提出することは、都民と関係者、都議会に対する挑戦だ」として、石原慎太郎都知事に対し改正案の撤回を求めた。
民主党の都議会幹部は「ここまで修正した以上、賛成せざるを得ない」としていたが、民主党内には反対意見も多く、調整が続いていると云う。
その他、作家や漫画家等を中心に多くの反対の声が上がっているが、一方行政側として大阪や京都などで追随するような条例策定の動きもある。
8日、角川書店の井上伸一郎社長は自身の Twitter で来春の「東京国際アニメフェア」(実行委員長・石原慎太郎都知事)への出展を取りやめることを明らかにした(以下が全文)。
>>さてこの度、角川書店は来年の東京アニメフェアへの出展を取りやめる
>>ことにいたしました。マンガ家やアニメ関係者に対しての、都の姿勢に
>>納得がいかないところがありまして。
来年の東京国際アニメフェアは3月24~27日、東京ビッグサイトで開かれる予定だが、角川書店は、関連するアニメ製作会社などにも参加取りやめを呼びかけていると云われている。