歴史は繰り返すというけれど、それは物事のごく一部、それも一面的に見た場合の話であって、正確には繰り返すわけではない。
ある歴史家は、歴史は螺旋の如く彷徨う、と云ったが、同じ道を辿っているかに見えるだけで、多次元空間ではまったく異なる道なのだ。
次期Windowsとして Windows8 の概要が現れつつあるが、基本UIとしてタッチUIが前面へと出てくるようだ。標準で現在のオーバーラップウィンドウではなく、タイルウィンドウになるとも謂われているが、これもタッチUIを前提とするからだろう。
ようやく実用期を迎えたスマートフォンの多くがタッチUIを採用しており、それはAppleのiPhoneも例外ではない。しかしタッチUI、そしてあの小さな画面ではオーバーラップウィンドウは使いづらいのは明白で、必然的に単純なタイルウィンドウにならざるを得ないのだろう。
Windows8が、スマートフォンやタブレット(スレート)型PCをターゲットの中心として捉えるのであれば、タッチUIを標準に考えざるを得ないのも、また時代の流れか。
ただ、どうだろう?ほんとうに Windows8 はスマートフォン向けのOSといえるのか?
ノート型やデスクトップPCを切り捨てていいのだろうか?
結局のところ、タブレット型にしても、タッチUIにしても、用途の大半をブラウザによるブラウジングと見ているからこそのインターフェースであって、まだまだPCの用途はそんな限定的なものではないと思うのだ。
確かにブラウジングするには現在のタッチUIには優れた面も多いが、たとえばエクセルの操作を同様に出来るだろうか?たとえばセル入力は?複数セルへの連続フィルは?etc.etc.と考えただけでも、まだまだ無理があるのは明白だ。
そのあたりを解決するには、まだまだ時と経験が必要だろうし・・・と考えれば、Windows が 1,2,3・・・と来て、2000やXpあたりになってようやく十分な実用性と操作性を得た歴史を、また繰り返すのか、という気がしなくもない。
ところでタイルウィンドウといえば、かつて Windows がまだ Ver 1 とか 2 であったころを彷彿とさせるが、もちろんあの頃のタイルウィンドウとは似て非なるものである。これもまた螺旋の・・・
あの頃、最初の実用的なマルチウィンドウベースのGUIシステムとしてのAlto(Xerox PARC)の資産(そして技術者)を引き継いだAppleが、オーバーラップ型のマルチウィンドウシステム独占を目論んだため、ひと足遅れをとったMicrosoftは苦肉の策としてタイル型ウィンドウシステムを選んだわけだが・・・今、タッチUIベースの iPhone などがタイルウィンドウを使ってる(使わざるを得ない)のは歴史の皮肉なのかもしれない(笑