東京しか見てないで、何がコンサルタントなんだろう?
まして「百年コンサルティング」だなんておこがましい。この人はきっと、せいぜい100時間先くらいしかコンサルタント出来ないのだろう。
「エキナカ」にしても「デパチカ」にしても、実は全部関西発と言っていい。改札と駅デパを直結する試みは、たとえば鶴橋駅など、数十年の歴史があるし、ホームにコンビニ以上の店を併設する試みは、阪急の十三駅を始めとして、各地でさまざまな試みがされてきた。これも数十年の歴史がある。
デパチカに至っては、食料品売り場を駅と直結した地下に置くというアイデアにしてもそうだが、店全体の売り上げの半分以上をデパチカで稼ぐ阪神を抜きに語ることなど出来ない。
その前に自動改札のことを考えてみるのも一興だ。
SuicaはJR東日本が始めたかもしれないが、すべてのアイデアは関西のものまねでしかない。
関西では Suica のような非接触型の自動改札は、JR西日本のICOCAがようやく普及し、来年は私鉄各社のPitapaが本格的な普及期に入ろうとしている。そういう意味では Suica の立ち上げは早かった。
しかしその背後にあるさまざまな事情、政治的な駆け引きを見ないでJR東日本をヨイショすることは、素人なら許されるけれど、コンサルタントを名乗る人物にはふさわしくない。
すでに事実上全駅を自動化してしまった関西の鉄道はシステムの変更を一部の駅から手をつけるなんてことはもはや許されるような状況ではないのだ。非接触自動改札の立ち上げに時間がかかったのも、一気に全駅に導入しなければならないための準備期間が必要だったと言う面が大きい。
まだ自動化率の低かったJR東日本は、ほんの少しの駅で対応するだけの始め方でも許されたのだろう。実際、Suica の前に始めた投入型のプリペイドカード・・・あれもJR東日本が日本で最初の導入となったけれど、その時点で実際に使える駅なんて数駅しかなかった。それでも許される東京はなんとやさしい街なのだろう。
それに比べて関西人はシビアである。プリペイドカードであるスルット関西にしても、大半の鉄道会社はいきなりからほぼ全駅への導入を行っている。その準備に時間をかけたためにJR東日本の後塵を拝した、と言うこともあるが、実はそれ以上に政治的なものがあったのではないか、と思う。
関西の鉄道でプリペイドカードが導入されたのはJR東日本なんかよりはずっと早い時期だった。ただし改札に直接投入は出来ず、そのカードを使い自動販売機で切符を買うと言うワンクッションが必要だった。
なぜそのような方式だったのか・・・おそらく技術的にはあの時点でも直接投入型は可能であっただろうと思う。しかし法律がそれを阻んだのだ。
切符とは有価証券である。だから、さまざまな規制を受けている。直接投入型のプリペイドは切符と同じである。スルット関西の立ち上げは、この法規制との闘いであったと言っても過言ではない。
ようやく直接投入型が許可されるようになった時、真っ先に認可が下りたのがJR東日本だったと言うのは偶然でもなんでもないだろう。この国のシステムは依然としてそんな風に働くのだ。
それに加えて、Pitapa の場合は他に例をみないポストペイシステムを採用している。立ち上げにさらに時間を要したのもむべなるかな。この国で、最初に何かをするのは、ずいぶんとエネルギーの要る仕事になるようだ。