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2009年02月26日

波紋呼ぶ「Googleブック検索」の和解告知。(ニュースの視点)

Googleブック検索はGoogle が世界中の図書館と提携し、その蔵書をスキャンし書籍情報や検索キーワードで検索したり一部を読むことが出来るサービス。特に著作権が失効した書籍については、全文を読むことが出来る。現在700万冊以上の書籍の全文を検索できるという。
2005年、同サービスが著作権侵害に当たるとして、米国の著作者団体・米出版者協会(AAP)などがGoogleを提訴、争われていたが、訴訟は昨年10月に和解に至った。米国裁判所は和解に関する公聴会を今年6月11日に開く予定で、7月以降に正式承認される見通しだ。

和解によってGoogleは、今年1月5日以前に出版された書籍のうち、米国で市販されていない絶版書籍について商用利用が可能になる。
具体的には

1.書籍をスキャンしてデータベース化する。
2.書籍データやアクセス権を販売する。
3.各ページに広告を表示する。

といったことが可能となる。Googleは、これで得た収益の63%を著作者に支払うという。
また、今年1月5日以前にGoogleが無断スキャンした全書籍の著作権者に、補償金として総額4500万ドル(約44億円)以上をGoogleが支払う。

この和解に関する説明と、和解契約の申し立てをオンラインで受け付けるサイトが開かれているが(http://books.google.com/booksrightsholders/)24日、日本国内主要紙に同様の内容の告知広告を掲載し、国内の著作権者に理解と対応を求めたことが、波紋を呼んでいる。

告知および広告は直訳調でわかりづらいものだが、(社)日本書籍出版協会はこれを受け解説と和解内容の翻訳の公開に踏み切った。
いずれもpdfファイルでの公開だが
解説→http://www.jbpa.or.jp/pdf/documents/google-wakai1.pdf
翻訳→http://www.jbpa.or.jp/pdf/documents/google-ipa.pdf

和解は米国で著作権を有する権利者が対象で、スキャンした全文書籍データが利用可能なのも米国内のみだが、波紋を呼んでいるのは、Google が対象書籍としている「米国で市販されていない絶版書籍」に、日本国内で出版された(現在も流通している)日本語書籍も含まれる可能性が高いためだ。
これは著作権に関する国際条約「ベルヌ条約」により、日本で出版された書籍についても自動的に米国内で著作権が発生するためだ。

権利者にとっては、収益の63%もの著作権料が得られるなど利点も多いが、掲載してほしくない場合の手続きが煩わしくなる可能性も高い。
また、今は米国内に限定されているこのサービスが、いずれ日本からも利用可能となる可能性もあり、そうなった時に国内の出版社が多大な被害を受ける可能性もある。
いずれにしても、この Google の「実験」が、他のサービス同様に出版に与える影響は広範囲に及ぶようになるだろう。

投稿者 shoda T. : 2009年02月26日 17:50

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