2010年03月 バックナンバー

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2010年03月24日

Google、中国で検閲を停止、本土より検索事業を撤退。(ニュースの視点)

22日(米国時間)、米Googleは、中国本土の検索サービスにおいて自己検閲を停止したと発表した。同時に Google.cn へのアクセスを香港版サービスGoogle.com.hk にリダイレクトすることで従来通り自己検閲のない香港版の簡体字によるサービスを本土へ提供する。

ただし、香港版では従来通り繁体字によるサービスも提供するため、今後香港のサーバの負荷増大が予想される。このためサービスの移行が完了するまでは、動作が遅くなったり、一時的にアクセスできない状態が起こる恐れがあるとしている。
なお中国本土における研究開発や販売事業は継続する予定。

Googleは従来から中国政府から強いられている自己検閲は「ネット上の言論の自由に反する」として廃止したい意向を持っていたが、これまでの協議で中国政府が検閲を「交渉不可能な法的要件」として譲歩の余地がないことが分かったため、(検閲廃止を)受け入れられないなら、本土からの撤退もありうると表明していた。
加えて、中国Googleオフィスへの有形無形の批判や圧力や、同社の「Gmail」において人権活動家のアカウントがサイバー攻撃受けた事件に中国政府の関与が疑われるなど、中国との軋轢が増していたこともあり、「自由を守るためには撤退しか選択肢がないと判断したようだ。

今後も開発部門等が残ることを考慮してなのか、発表の最後に、今回の一連の決定は米国本社で行われたものであり、中国本土の従業員は一切関与していない旨を明言している。

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投稿者 shoda T. : 22:08 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月16日

遅すぎたネットラジオ・・・課題山積。(ニュースの視点)

15日、IPサイマルラジオ協議会はIPサイマルラジオ(所謂ネットラジオ)の実用化試験配信を開始した。radiko.jpにアクセス、放送局を選ぶことで放送波とまったく同じラジオ番組(CM等も含む)が聴ける。利用は無料で、ユーザ登録は必要なく、特別なソフトは不要だが、flash により再生されているので、 flash に対応している必要がある。
配信地域は、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県で、参加放送局は朝日放送、毎日放送、ラジオ大阪、FM COCOLO、FM802、FM OSAKA、TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送、ラジオNIKKEI 、InterFM、TOKYO FM、J-WAVEだが、IPアドレスで地域を自動判定しており、それぞれの放送エリアに準じた地域で、実際に放送されている局だけしか聴けない。
実験放送は8月31日までの予定で、その後の予定は未定。

IPサイマルラジオは、元々昨年春から関西地区で実験が行われていたものを、発展解消して関東地域にも広げたもの。ただし、関西での実験は IPv6 によるマルチキャストだが、今回のものは IPv4 ユニキャストを用いている。関西での実験はNTT西日本のフレッツ光プレミアムまたはフレッツ光ネクストのみを対象としたもので、NTT西日本のフレッツ光はすべての段階で IPv6 を用いているためIPv6マルチキャストが可能であったが、他地域ではまだ完全な IPv6 環境にはないため。

この「遅すぎた」ネットラジオだが、現状では同時配信数は2万と云われており、すでにゴールデンアワーには接続しづらい状態が続いている。またサイマル(同時)とは云うものの、実際はデジタルTVなどと同様に放送波よりも6秒程度遅れがある。
また、IPアドレスによる地域判定も完全ではないため、実際に視聴地域であるにも関わらず地域外として拒否されたり、逆に海外や北海道など、地域外からの接続例もあるようだ。
地域限定は、おそらく放送法や広告代理店との関係などのためと思われるが、不完全な地域判定など撤廃して、ネットラジオのメリット・・・地域外からも視聴できる環境こそ実現して欲しかったものだ。

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投稿者 shoda T. : 22:01 | コメント (2) | トラックバック

2010年03月10日

富士通に今何が起こっているのか?(ニュースの視点)

昨年9月に病気を理由に突然辞任した富士通の元社長・野副州旦氏が2月26日に、社長辞任の取り消しと、名誉回復の場として臨時取締役会の開催を求める文書を同社に提出していたことがわかった。
野副氏は社長辞任後は同社の相談役を務めているが、文書は同氏の代理人である弁護士を通じて提出されており、同氏が実際に相談役として出社しているのかどうかはわからないという。

富士通は一旦開催拒否の通達を出していたが、6日に野副氏抜きで臨時の取締役会を開催。野副氏の相談役解任と辞任取消要求の拒否を決議した。

野副氏の社長辞任は病気が理由と発表されていたが、病名等の詳細は公表されていなかった。富士通は臨時取締役会の後、一転して病気ではなかったと云うコメントを発表している。

富士通の説明によると、昨年2月頃、野副氏と親交の深い人物が代表取締役を務める企業(具体名は公表されていない)が、野副氏が担当するプロジェクトの一部に関与。この企業グループは芳しくない風評があるため、調査の結果、同社と関係を持つことはふさわしくないと判断。取締役と監査役が野副氏に注意したと云う。

これに対し、野副氏は当該人物との関与は認めたものの、当該企業グループとは切り離して個人としてのみ関わっているので「改善」は不要と判断。
そのため、取締役会としては野副氏の解職か、本人の自発的辞職の選択を迫り、病気で辞任と云う形で決着したと云う。

一方、野副氏側は「事前に取締役会メンバーの過半数の同意を得た」としても、取締役会での討議ではなく、密室での解職であり法的効力はないとしている。
富士通は辞任理由を「病気療養」としたことについて、「野副氏自身が体調を崩していた事実もあったことから」撤回はしなかった。
しかし、野副氏側は、辞任後通院していたことは認めているが、これは富士通の指示によるもので、肩こり解消のために針をやった程度と云い、病名も診断書も存在しないという。

野副氏側はこの解職の手続き自体に問題があるとしている。

この騒動を受けて、東京証券取引所(東証)は、情報の開示が適正に行われなかった可能性があるとして、同社に対して事実確認で調査する可能性を検討していると云う。
いずれにしても、富士通が野副氏の社長辞任について、虚偽の報告を行った点は否定出来ないようで、東証や投資家は適切な情報開示を怠った点を重視する可能性が高い。

野副氏は新中期経営計画を定めるなど、経営改革に強い意欲を見せていたが、個性の強い人らしく、それが災いした可能性も高い。いずれにしても公表された情報だけでは、何が事実なのか、誰がどのように関与しているのか判断は難しいが、大企業として、上場企業として、役員の任免過程がオープンでないのは大きな問題となるだろう。

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投稿者 shoda T. : 21:30 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月04日

「2ちゃんねる」にサイバー攻撃?(ニュースの視点)

1日、「2ちゃんねる」を運用しているサーバがサイバー攻撃にあい、数日にわたりアクセスしづらい状況が続いた。
直接のきっかけは、冬季オリンピックに関してキム・ヨナ選手に対し多数の批判が2ちゃんねるに書きこまれたのに韓国ファンが反発したことだと云われている。
しかしいち早く2ちゃんねる攻撃を開始したコミュニティーサイト 「テロ対応連合」が会員数11万人を突破したり、他にも「愛国の志士連盟協会」などのサイトが立ち上げられるなど、攻撃が組織的であることや、折しも3月1日は韓国の独立記念日にあたることなど、事前に周到な攻撃計画が立てられていたのではないか、という見方もある。

「2ちゃんねる」のサーバは米国のセンターに設置されており、同センターには米政府機関に関係するサーバや、多数の企業サーバもあり、影響を受けている。運営企業によれば損害額は約250万ドル(約2億2千万円)にも上るという。
そのため、運用企業はFBIやサンフランシスコ市警と協議しており、法的措置も検討していると云う。

また、6日土曜日には「2ちゃんねる」への二次攻撃も計画されているとも云われており、韓国・米国両サイドで対策が練られているようだ。
ただ、面白半分に攻撃に参加した韓国ユーザの中には、FBIの登場など、思わぬ方向への波及に困惑している人も多く、再度の攻撃は、あったとしても今回ほどの規模にはならないだろう。

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投稿者 shoda T. : 12:59 | コメント (0) | トラックバック