27日、埼玉県警は、特定商取引法違反(不実告知)容疑で、ネット関連会社(株)ビズインターナショナル(さいたま市大宮区)の本社など十数か所を捜索した。
容疑は、インターネット上の仮想空間をめぐる連鎖販売取引(マルチ商法)で、虚偽の説明で会員を勧誘していた疑い。
消費者庁などによると、会員は全国で約2万6千人に上り、ビズインターナショナルは約100億円を集めていたと云う。
ビズインターナショナルは、2007年6月頃より仮想空間「エクシングワールド」(現在はX-I Worldへ改名:http://www.3dbeta.jp/)の構築を計画。
そのプレメンバーを募集するにあたり、代理店ビジネスキット(販売価格378,000円~398,000円)を購入する代理店契約ビジネスを展開していた。
この代理店契約を結んだ会員に対し「この仮想空間ビジネスは必ず成功する。大丈夫」等と、成功が約束されているような断定的判断を提供して勧誘していたことが直接の容疑につながっているわけだが、実際の仮想空間の開発はフレパー・ネットワークス(株)と云う別会社が「Phantom」という名称で行っていたもの。間に(株)I.D.Rと云う会社が入っており、この会社がビズインターナショナルへの売り込みを行ったとされる。
しかし実際の開発は進まず、昨年6月になってようやく公開されたのは、代理店限定のテスト版(β版)で、「銀座」「新宿」「渋谷」など限られたごく一部の地域しか歩き回れず、土地の購入はおろかアイテム類の購入やアバターの着せ替えもできず、企業の参入なども無かった。
経緯についてビズ社は詳細を公示し、代理店契約で集めた金は大半をI.D.R社を通じた逆ルートで開発費等としてフレパーへ還流させたとして、返還しようにも原資がないとし、自社も被害者で、フレパーから返金してもらえるように交渉している云々と説明。
→ http://biz-int.jp/news20100510.html
これに対して、フレパーもI.D.Rも事実と異なり、ビズ社を告発する準備をしている、と短くコメントを公開している。
この話、実はそんな単純なものではない。
実はビズ社そのものはほとんど実態のない会社で、元の本社所在地とされるところは秘書代行付きのレンタルオフィスに過ぎず、現在の本社も倉庫の一角(?)のようだ。代表者もビズ社以前にもマルチ商法に手を染めていた、との噂がある。I.D.R社にしてもほとんど同じようなものらしい。
一方、フレパー社は現在はNTTドコモ等のキャリアなどからも出資を受けて資本金も23億円に達し、通信関連の事業やソフト開発を行っている。
ビズ社やI.D.R社とは(資本)関係がないとして、「こちらこそ被害者」的なスタンスをとっている。
ところが、実際はフレパー社の大株主の一つの企業の代表者はI.D.R社と同一人物で、会社そのものもフレパー社と同じ住所にあると云う。
「Phantom」と云う仮想空間システムが存在するのは間違いないようだが、どこまで完成しているかは疑問だらけだし、三社の関係も、表に公開し、互いに争っている風に見えるが、実態は不明で、実は裏でつながっていて「芝居」をしている可能性が高い。
このあたりが、今回ビズ社だけでなく三社を中心に一斉に家宅捜査を行った理由だと思われる。
それにしても・・・美味しい話にホイホイと乗る人は、相変わらず絶えないようだ。