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2010年06月24日

Viacom対YouTube(Google)訴訟で、第一審がGoogleに有利な判決。(ニュースの視点)

23日(米国時間)、米連邦地方裁判所のLouis Stanton判事は、YouTubeをめぐりViacomがGoogleを訴えている著作権侵害訴訟について、Googleに略式判決を出した。
裁判所は、YouTubeはデジタルミレニアム著作権法(DMCA)のセーフハーバー条項によって保護されているとの判断を示した。

これに対してGoogleは「この判断を受け、YouTubeのようなオンラインサービスはオンライン上の著作権管理に著作権保有者と共同で取り組んでいる場合は法の保護を受けるという統一見解が、司法界で確立される」として歓迎の声明を発表した。
一方、Viacomは「下級裁判所によるこの判断には根本的な欠陥があり、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の文言に反していると確信している」との声明を発表。「われわれはこれらの問題を、早急に第2巡回区連邦控訴裁判所に上訴するつもりだ」との意向を示している。

Viacomは2007年3月、Googleはユーザに著作権の侵害を促していると主張し、Googleを相手に損害賠償額10億ドルの訴訟を起こした。
当時はまだフィルタリングシステムなどのコンテンツ保護措置を実装しておらず、YouTubeには著作権者の許可を得ていないテレビ番組や映画の映像が普通にアップロードされていた。

Googleは、同社をはじめとするインターネットサービスプロバイダーは、DMCAのセーフハーバー条項によってユーザが犯す著作権侵害の責任から守られていると主張。今回、判事はこのGoogle側の主張を受け入れた形だ。

判事は「サービスプロバイダーが、侵害に関してはっきりとした事実を認識している場合、このプロバイダーはその侵害した素材を即座に取り除かなくてはならない」とし、「サービスプロバイダーが気づいていない場合、侵害を明らかにするための負担は(著作権の)所有者にある。侵害行為が『偏在している』という漠然とした認識が、侵害行為の発見のためにサービスプロバイダーによるサービスの監視や捜索を義務づけることにはならない」と語った。

ただし、MGMとGroksterの訴訟では地方裁判所と第9巡回区連邦控訴裁判所が下した判決を連邦最高裁判所で全会一致で覆されている。今回も同じことが起こるだろう、と予測する向きも多い。

注:セーフハーバー条項:
米国著作権法第512条の「オンライン・サービス・プロバイダの責任制限に関する規定」
概要は「オンライン・サービス・プロバイダがnotice & take down条項(512条(g)項)に定められた一定の手続に基づいて削除等を行っていれば問題がない」とするもの。

投稿者 shoda T. : 22:00 | コメント (0) | トラックバック