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2006年03月01日

Mac mini Intel...(ニュースの視点)

2月28日、Apple Computerは Intelプロセッサ搭載版 Mac miniを発表した。同社によれば、前モデルよりも3?5倍近く高速だという。

AppleのCEOであるスティーブ・ジョブズ氏によれば、シングルコアのIntelプロセッサを搭載したMac miniは以前のモデルよりも3倍近く高速だと述べた。同氏はまた、さらに強力なデュアルコアプロセッサを搭載したMac miniは前モデルよりも5倍近く高速だと語った。
Intel Core Solo搭載のMac miniは「3倍速い」

先のiMac Intelモデル発表の時もそうだが、アップルはしきりに Intel 版が前モデルより数倍高速であると強調している。
しかしそのセリフ・・・たしか、Intel化計画がすっぱ抜かれる前には、PowerMac がPC(所謂 Wintel マシン)よりも高速でパワフルであると誇っていなかったか?(笑
どうやらアップルでは、どんなCPUを使おうが、アップルマジックによって他社よりも高速動作が可能になるらしい(嘲笑

今回の Mac mini の廉価な方のモデルは 1.5GHzで2MBのL2キャッシュ付のIntel Core Soloプロセッサを667MHzのフロントサイドバスで駆動、512MBのメモリーを積んでいる。
一方、前モデルは1.25GHzのPowerPC(G4プロセッサ)に256MBのメモリー(333 MHz DDR)だ。
アーキテクチャーが違うのでクロック速度等で単純に比較は出来ないし、何故かPowerPC とIntelプロセッサの性能比較と言うのは、あまりデータがないのが実情なので比較は難しいのだが・・・

AnandTech(オンラインレビュー/ベンチマークサイト)の編集長Anand Shimpiによれば、PowerPC G4の1.25MHz版をIntelと比較した場合、大まかな言い方をすれば Athlon 64 3000+やPentium 4 2.8GHzよりも遅く、ローエンドのCeleronと良い勝負になるだろうと言う。
一方、PowerPCな人たちの公表しているベンチマークなどでは、Pentium4-3GHzは PowerPC G4 1.5GHzと同等、Core DuoでようやくPowerPC G4並となっていたりする。

では誰が「嘘つき」なのだろう?
実は誰も嘘をついているわけではない。嘘はついてないが、正直にすべてを話しているわけでもない、そんなところだ(笑
ま、結局のところ、誰もが自分に都合のいいデータだけを取り上げて引用しているわけだ。

時代は70年代後半まで遡る。
Intel が 8086 を発表したとき、このCPUの機能の一部となって動作可能な浮動小数点プロセッサ8087(FPU)も発表した。実際に物が出て来たとき、噂に違わず(当時としては)強力な演算性能と高機能なものであった。
・・・が・・・実際のチップを見た専門家はある種の危惧を感じた。なぜなら、この8087は本体(8086)よりも多くのトランジスタを集積したお化けであったから。
もちろん、その後の集積密度の向上がこの程度の差をすぐに吸収してコストダウンと高機能化をもたらすことに誰も異議は唱えなかったけれど、CPU以上に高集積なFPUを設計する上で、集積密度の壁のために妥協を強いられた設計が行われたということは十分に考えられたわけだ。

時代が下って・・・やがてこのFPUはCPUの一部として取り込まれ、現在の Intel のCPUはすべてFPU機能を含んだものとなっているわけだが、この複雑怪奇な設計の賜物であるFPU・・・その後も、最初の妥協の呪いを引きずって根本的な設計の見直しが行えない状態のまま今日まで来ている。なぜ抜本的な改善が出来なかったかと言うと、それはIntelが過去との互換性を第一義に考えているからでもある。大幅な設計変更をするためには、互換性の一部を捨てなければならないだろう。
その結果、現在のFPUユニットはパフォーマンス的にはあまり良いものではなくなってしまったのだ。

一方、PowerPC と言うのは、それまでのMotorola の過去の資産をご破算にして、まったく一から(でもないけど)設計されたものだ。だから自由にその時点の最高のものを使い最大のパフォーマンスを引き出せると言う・・・必ずしもそうはなってない面もあるが、基本的にはそういうことだ(笑

その結果、機能的には比較的単純な整数演算や判定回路などではそれほどの差は出来ないけれども、Intel が過去を引きずっている浮動小数点演算では、PowerPCの方が圧倒的なパフォーマンスを引き出すことになる。
つまりこの浮動小数点演算を、PC全体のパフォーマンスの中でどれくらいの重要度のものと看做して性能比較するかで、性能差が大きく違ってくるわけだ。
アップルが何を根拠に前モデルより3?5倍高速と主張しているのかはわからないが、少なくとも浮動小数点演算を多用するようなグラフィック処理やデータ演算での数値ではないはずだ。まぁ、たぶん・・・マウスポインターの速度とか・・・(爆笑

投稿者 shoda T. : 2006年03月01日 12:31

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