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2006年06月09日

Adobe vs MS: PDFを巡る奇妙なたたかい(ニュースの視点)

米マイクロソフトは次期 Office 2007 に、PDFで出力する機能を搭載することを中止した。
当初は標準でサポートする予定だったが、米Adobe Systems が有償のライセンス契約を提示(かなり高額らしい)したため、標準サポートを止めてWEBサイトからの無償ダウンロードに切り替える方針を出したが、Adobe側がライセンス契約要求を引っ込めずに提訴をちらつかせたりしたため、あっ さりとこの機能は削除、まったくサポートしないことに決定したようだ。
なお、MSはPDFサポートについて、Office 2007 だけでなく他の製品でもすべてサポートを取り止めてしまった。

有償ライセンス契約自体については、他にも多くの例があるから何の問題もないが、PDF に関しては Adobe 自身、普及を図ることを目的として、他社には無償でライセンス供与している。MS製品の場合も、他社と同様に単にPDFとして保存するだけで、再編集出来るわけではない。それなのに敢えてMSにだけ有償のライセンス契約を要求した Adobe の真意はどこにあるのだろう?
実際、サードパーティ製のプリンタドライバタイプのものや、GhostScriptを利用したフリーソフトなどを利用すれば、現状でも MS Office からPDFファイルを書き出すことは何の制限も問題もなく出来るし、今後もそうだろう。MSとしてPDFサポートを止めたところで何の痛みもないわけで、あっさり引っ込めたのも当然だろう。

Adobeの広報担当者は「Microsoftには独占的な力があり、われわれは常にその乱用を心配している」と述べたと云う。しかしPDFはAdobeの独占物(笑
実際、仲裁に入っているEU(欧州連合)の独占禁止法担当者も「両社の係争は知的財産にかかわる問題で企業間競争とは無関係」との声明を出している。

一説には、Adobe はMSが今後標準フォーマットとして推進しようとしている『XPS(XML Paper Specification)』に神経を尖らせているのだと言う。
XPS はその名の通り XML をベースとしたもので、世の中の流れが XML に向かっている今、PDF を蹴落として標準の地位に着く可能性が高い。
そして Office 2007 は、実質的にその最初の本格的な対応製品だ。
現状はまだ前面に出すほど基盤は整ってないようだが、最終的に XPS は Office 2007 だけでなく Windows Vista そのものが XPS ベースになると云われている。
Adobe はXPSによりPDFが駆逐されることを恐れているのだろうか?
実際、Adobe はMSに対して、PDFだけでなく、XPS での保存機能に対しても、ユーザからライセンス料を徴収するように要求していると云う。おそらくPDFに関する特許の一部に XPS も抵触すると云うことなのだろうし、PDF でもXPSでもどちらが生き残ったとしても自社の収入源を確保しておこうと云うのが Adobe の戦略なのだろう。XPS からのライセンス料の筋道を付けるために、PDF にもライセンス料を設定しておこうと云うのだろうか。

投稿者 shoda T. : 2006年06月09日 02:06

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コメント

PDF重すぎ^^;
Linux入れたハイスペック機で固まるって何よ^^;;;

XPSにそういうことがなければどんどん駆逐されちゃって欲しい

投稿者 no : 2006年06月09日 17:29

私もホントPDFは嫌いですね(笑
PDFは重いだけじゃなくてソフト品質悪すぎます。最近はだいぶマシになりましたけど、昔は落ちまくってたし(-_-;)
操作性も今となっては・・・言わぬが花(爆

投稿者 shoda T. : 2006年06月09日 19:36

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