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2006年06月05日

潮時(ニュースの視点)

やはりただものではないな。さすが元高級官僚、と思わざるを得ないソツなさだ。
5日、午前11時、東京証券取引所の会見室で、渦中の人、村上ファンドの元(?)代表の村上世彰氏は異例の会見を行った。
すでに報じられているとおり、東京地検特捜部によるニッポン放送株を巡るインサイダー取引疑惑では容疑を認めた同氏だが、当然ながら会見の主題はその点に集中。筋立てはすでに頭の中に出来ていたのだろう。報道陣もすっかり彼のペースにはまっているように思える、各メディアの報道を見ていると。「野人」ホリエモンに対する取り扱いとはエライ違いだ。
そもそもインサイダー取引疑惑そのものが、非常に微妙な事実の積み重ねに寄っていることもあるが、村上氏自身がすでに村上ファンドとも日本そのものとも距離を置くべく手を尽くした後だけに、余裕もあるのだろう。
終始低姿勢、殊勝な表情を崩さなかったようだが、終わったあと、「楽屋」ではペロッと舌を出してニンマリしてたんじゃないか?そんな気がしてしまった(-_-;)

>>(ライブドア側から)『ニッポン放送株いいな』という話を聞いちゃったことが、私にとっての
>>インサイダーじゃないか、ということだった。そんなバカなと思った。

と、今回の疑惑の微妙さを強調。
しかし、その後

>>構成要件を考えると、証券取引法にかかるかもしれないし、かからないかもしれない。

と思い

>>(検察と)争い続けることが僕に投資してくれた人のためになるのか?

と思い悩んだ末の決断だとして、最終的に

>>認識が甘かった点について、私自身が罪を認めることが私のやるべきこと。

と判断し、4日の同地検の取調べに対し

>>検事さんのおっしゃる通りかもしれない。

と容疑を認めたことを明かした。そして

>>証券取引法という、証券取引の憲法のような法律を犯してしまった以上、
>>この世界に居続けるのはおかしい。
>>基本的に今日をもってこの世界から身を引く。

と、『引退宣言』した(以上、読売新聞報道より)。

それにしても「この世界」とはどの世界だろう?
日本企業としての「村上ファンド」はすでに部下へ手渡してしまっている。すでに書いたように、自身はシンガポールに法人を設立、そちらへ軸足を移しているだけでなく、最終的には「移住」まで考えているようだ。
阪神に役員まで派遣して徹底的に経営改革を云々している一方で、急激な移転・移住についでファンドの代表交代等、まるで釣り合わない一連の行動も、おそらく捜査を察知しての行動だったのだろう。
証券取引法で逮捕ということになれば、この移住計画もオジャンになるのか?それとも逃げ切るのか?

村上ファンドの顧客は、大半が国内の公機関絡みの資金だといわれているので、仮に逮捕を逃れたとしても大半の投資資金は村上ファンドから撤退するのではないだろうか?
とすれば、すでに儲けの大半はシンガポールに移転していると思われる村上氏には何の痛みも残らないが、国内に残され、後を任された村上ファンド関係者こそ最大の被害者となるかも知れない。やれやれ、頭の良い人はどこまでも・・・

投稿者 shoda T. : 2006年06月05日 14:12

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コメント

そうそう、もう一つ書くの忘れてる。
たぶんと云うか、大いに関連してると思われるが、阪急HDが進めてる阪神株に対するTOBについて、もうなりふり構ってる状態じゃないと判断したのだろう。TOBに応じる旨の声明を5日朝に発表している。ただし、阪急HDに対しては何のアクションも起こしてないようだ。

TOBに応じれば主株主ではなくなるためだろう、阪神電鉄への取締役派遣等の株主提案も取り下げた。また、大阪地方裁判所に出している、阪神電鉄の取締役議事録謄写許可や検査役選任の申請も取り下げたもよう。

すでに阪神株だけでなく、村上ファンドが保有している何社かの株価は軒並み下がっているという。このまま、村上氏の逮捕や村上ファンドが証券取引法違反で告訴されることになれば、さらに株価が下がるだけでなく、処分もままならない状況になることも十分考えられる。
結果的に村上ファンドは出資者への約束(30%の利益率?)を守れない状況に追い込まれるのは必至だ。
TOBに応じて高価格で売り切ってしまった方が傷が浅いと言うのが村上ファンドとしての判断なのだろう。
しかし、阪急HDは焦りすぎたな。このままだと930円なんて高水準でTOB掛けなくても良い状況になるのはわかりきってるのに :-)

投稿者 shoda T. : 2006年06月05日 17:36

予定通り(?)当日中に村上容疑者は逮捕されたようだ。
他の幹部三人についても共犯として逮捕の予定であったが、村上容疑者が事情聴取で容疑を認めたため、逮捕の必要はないとの判断からか、今後も在宅のまま取調べを続ける模様。村上氏については、おそらく「海外逃亡」の可能性等まで勘案して逮捕に踏み切ったのだろう。

なお、検察側は村上容疑者の会見での「検事さんのおっしゃる通りかもしれない」風な発言に対しては

>>過失犯のようなことを言っているが、相当事実関係とは違う。

と、徹底的な捜査を行う意向であることを表明している。
「事実関係とは違う」というのは、会見では「たまたま知ってしまった」風な表現を村上氏はしているが、検察側は、村上氏がライブドアへ積極的に働きかけてM&Aへ持ち込んだと見ており、云わば仕掛け人として、「知った」というより筋書きを書いた上での「インサイダー」と見ている模様。

と云うか、そんなこと最初っからわかってると思うけど?
そもそも村上ファンドのやり方って、そういうもんでしょ。ギリギリの線を積極的に綱渡りしてたのは一目瞭然のことで、それをインサイダーと見るかどうかに、なぜこれほどまで時間が掛かったのかの方が不思議でならない。
不思議と言えば・・・「和田画伯」問題もそうだな。これは別項。

投稿者 shoda T. : 2006年06月06日 12:32

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