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2009年05月27日

「医薬品のネット販売規制は憲法違反」と国を提訴。(ニュースの視点)

25日、ケンコーコムとウェルネットは、医薬品のネット販売や通信販売を一部を除いて禁止する省令が違憲であり無効であるとして、国を相手取り提訴、東京地方裁判所に訴状を提出した。

「セルフメディケーション」(自分自身での健康管理と治療)や安全性の向上を趣旨とした改正薬事法は6月1日に施行されるが、この改正法案では医薬品のネット販売等を禁止する対面販売の原則については明示されていない。
厚生労働省が同時に施行する「薬事法の一部を改正する法律」の省令により、安全確保のための対面販売の原則を理由に、第一類医薬品および第二類医薬品の通信販売を禁止とするもの。
この省令については、パブリックコメントを実施し多くの意見を求めていたが、結果的には9,824件の意見提出のうち原案賛成意見はわずか0.5%であったと言う。
厚労省の説明によれば、パブリックコメントを行うのは厚労省が今まで気がつかなかった論点を見つけるためのものであって、反対意見の多寡によって原案を修正したり施行時期を決定するものではないのだと言う。

ケンコーコムとウェルネットによる提訴は、この省令の違憲性を問う行政訴訟で、当事者の権利の確認の訴訟であるため、NPO法人の日本オンラインドラッグ協会はもちろん、直接販売を行っているわけではない楽天やYahoo!は加われないのだと言う。
楽天等は別の手段を模索している模様。
この省令によりケンコーコムは売上の5%程度の、ウェルネットにとっては売上の大半が吹き飛ぶことになり、このままではウェルネットは転業か廃業するしかないという。

改正薬事法では、しっかりとした情報提供義務と、販売は薬剤師か登録販売者(特定販売者)が行う旨が明記されているに過ぎない。これにより、薬局以外でも(コンビニ等)医薬品販売が可能となる。
ただし、「特定販売者」が販売出来るのは第二類および第三類医薬品だけで、新薬はすべて第一類医薬品になるだろうと言われている。
また、特定販売者の資格取得には薬局での一年間の実務経験が必要とされ事実上は薬局(およびドラッグストア)が独占的に販売を行う形になると云われている。

離島などの薬局のない地については、継続使用に限って通信販売を認める経過措置がとられるが、これも二年間のみ。
現在は全体的に見れば、まだそれほど通販を利用しての購入者は多くはないが、離島や山村だけでなく、ひとり暮らしなど、通販でなければ購入出来ない環境にいる人も増えていると云われている。
今回の省令は、そのような購入者への回答は保留したまま、一部の実店舗中心の薬局組織の意向を優先したものだと云う批判も多い。実際には薬剤師の名義貸し(本人は店舗に出向かない・・・)もまだまだあると云われているし、建前はともかく、実店舗での対面販売と通販とどちらが安全とは云い切れないのが実情だ。そんな中での強行は大きな波紋と新たな問題を生んでいくことは間違いないだろう。

投稿者 shoda T. : 2009年05月27日 23:21

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