2011年04月15日 バックナンバー

« 2011年04月07日 | トップ | 2011年04月19日 »

2011年04月15日

枝野氏、原子炉爆発でも「現在の避難区域でよい」(ニュースの視点)

>>枝野幸男官房長官は13日午前の記者会見で、東京電力福島第1原子力
>>発電所の原子炉の格納容器が爆発した場合について「万が一起こったと
>>しても、現在の避難指示区域でよい。原子力安全・保安院、原子力安全
>>委員会と相談して、指示を出している」と述べ、新たに避難区域を拡大
>>しない考えを明らかにした。
>> 2011.4.13 13:08 MSN産経ニュース

敢えて全文引用したのは、ニュースの視点としてこのニュースを載せるのが目的ではないからだ。

上記の記事(だけ)を読んで、どのように思うだろう?
(原子炉が爆発するような)万が一のことが起きたとしても、政府は緊急事態を想定しておらず、何も対処しない。
事実、そう受け取った人もいるようだ(-.-)

後で朝日新聞等が載せた全文(録音からの書き起こし)によると、枝野氏発言の真意は、現在の避難範囲が原子炉の収納容器が爆発した場合を想定したものであるため、現在の避難指示区域を拡大する必要はなく、緊急時の避難指示拡大についても準備をしておくように指示をしている、ということのようだ。

で、ここで言う「収納容器の爆発」というのは、収納容器内に溜まっている(加水分解した)水素(と酸素)の爆発であり、爆発するリスクが一定以上はあるため、リスクを下げるために窒素注入などをしているが、それでも爆発が起こった場合を想定した話。

しかし早とちりな人は「原子炉」「爆発」と云う言葉だけに反応して、原子分裂による爆発を想像したりしているようだ。
確かに速報では文字数も限られるから舌足らずな書き方になるかもしれない。しかし第一印象、と言うこともある。いったんセンセーショナルな書き方で速報された内容は書き手(新聞社)を離れて自立して拡散して行く。
特にこのネット時代においては、口コミだけではなしえないほど急速に、より多くの人々に拡散して行く。

映像の力も大きい。
たとえば、この季節、日本では(花粉症対策のために)マスクをしている人が多いが、あの映像が注釈なしに世界中で放映された結果・・・
世界には花粉症やマスクには馴染ない地域も多いようで、ヨーロッパなどで、日本中が放射能に汚染され、人々が脱出している、と言う、実しやかな噂が広まったのも、一因にあのマスク姿があったと云う :-)

東日本大震災(正式名称が決まるのが遅かったから、ニュースやネットでいろんな名称が使われているのも混乱の一因かも)以来、色々な出来事や憶測を見てきたが、どうも風評被害も含めて、かなりの部分はこういった舌足らずな報道、あるいは、会見、さらにネットの裏で実しやかに垂れ流されているみそもくそも事実も憶測もごちゃまぜにした混沌スープな「情報源」に原因があるようだ。
ネットにうまく対応しきれなったマスコミの権威失墜(いやいや、元々そんなものはなかったのだが、イメージ、ね)で、正しい(と言うより信頼されうる)報道が皆無な状況も混沌に油を注いでいるのかも。

投稿者 shoda T. : 22:04 | コメント (0) | トラックバック