昨年までは圧倒的にウィルスメールが多かった。増加傾向であったが、絶対数ではまだまだ少なかったスパムメールが、今年後半くらいから急増して、ウィルスメールとスパムメール数が逆転して来ている。
ひとつにはウィルス対策が効果を発揮しているのに対して、スパム対策は抜本的な方策が無いことにある。さらに、最近はスパム送信「エンジン」をウィルスとして送り出す手法が一般化し、スパム送信が特定のスパマーのPCからだけでなく、ウィルスに乗っ取られたPCからも発信されだしたことも影響あるのだろう。
今や、プロバイダのメールサーバはウィルスフィルターを装備するのは当然の事となって来ているし、最近はスパムフィルターを標準装備するところも多くなって来たが、如何せん、ウィルスは定義が明確でフィルターが効果的であるのに対して、スパムの定義は曖昧で自動では特定出来にくいと言うことがある。
笑い話みたいだが、実際にあった話として・・・
Yahoo!BB のメールサーバも標準でスパムフィルターを装備しているのだが、久しぶりにWEBからメールボックスを覗いて驚いた。
そもそもYahoo!BBのアカウントは普通には使っていないので、Yahoo!BBからのお知らせメールくらいしか来ない。それなのに、迷惑メールフォルダに4通のメールが入っている。
見ると・・・すべて、Yahoo!BB からのお知らせメールだった(笑
残念ながら現状のスパムフィルターはその程度の能力のものだと言うわけだ。
もちろん普通は White List(スパムでは無いとわかっているアドレスのリスト)設定は出来る(Yahoo!BBでは出来ないようだ)。
しかし最近は送信者詐称するスパムもあるから・・・。
プロバイダとしても、スパム対策はスパムフィルターだけで良しとしているわけではない。強力な送信者認証を行おうと言う動きもあるが、この手の対策は結局のところ全世界のサーバが対応しなくては根本的な対策にはならないだろうし、その時点ではスパマー側も抜け道を・・・(略
次善、三善の対策として最近次々と大手プロバイダが導入を進めているのがOP25B と言う略号で呼ばれる Port25 を塞ぐ対策だ。
スパムはたいてい不正なメール送信経路を利用する・・・と言う経験則に則って、出来るだけその経路を塞ごうと言うわけだが、果して実効は??
Port 25 と言うのは、メール送信用に標準で用意されたポートで、大半のメールサーバやメールソフトはこのポートを使ってメール送信を行う。
だから塞ぐと言ってもすべて塞ぐわけではない。
OP25Bとは「Outbound Port 25 Blocking」の略で、その名の通り、プロバイダの外にあるサーバの Port 25 利用に制限を掛けるものだ。
たとえば貴方が @nifty で接続していて、@nifty のメールサーバだけを利用している場合には何の影響もない。
しかし、たとえば @nifty 以外のメールサーバ・・・たとえば、フリーメールであるとか、会社のメールサーバを使おうとすると制限を受ける。
もちろん制限するだけでは不都合が出るので、代替のポートが用意されているのが一般的になっている。これは Port 587 が一般的だが、単にポート番号を変えるだけではあまり効果はない。このポートには何らかの認証機構があるのが通例で、これにより正規のユーザからの送信以外はシャットアウトしようというわけだ。いずれにしてもまず使っているメールサーバが対応しているかどうか注意が必要だし、たとえ対応していてもメーラーの設定を変更しなければならないが、古いメーラーには対応していないものもある。
対応していても、初心者に設定変更しろと言うのは酷な話だ。
にも関わらず・・・「ニュースの焦点」にもちょっと書いたが、台湾地震の影響でスパムメールが3?4割減ということは、中国本土発のスパムがこれくらいあると言うことでもある。この分に関しては、いくら日本のプロバイダが、OP25B対策したところでどうにもならない。
まぁ、国内の一部の初心者スパマーや、乗っ取ったユーザの常用サーバではな く、送信相手のサーバや、予めリストされたスパマー用サーバを利用してメール送信するタイプのウィルス/スパムなどには効果があるだろうが。
とは言え、何もしないよりはマシだし、プロバイダとしては「ちゃんと対策をしてます」という姿勢を示せるという意味は大きいのかも :-)
ちょうど、Windows 等が「このファイルは危険かも」と「警告」してくれるのと似たりよったり、電子レンジの取説に「猫を入れてはいけません」と書くのと同じほどの責任回避にはなるのかもね(ぉ
さて、2007年は本気で対策を立てないとえらいことになるぞぃ>>プロバイダ